スペシャライズドの技術と英知によって作られる、インダストリー最高水準のバイクやエキップメントがS-WORKS(エス・ワークス)。そのオーナーの集いが「S-WORKS OWNERS CLUB」です。
12月5日(金)東京都代々木にて開催したS-WORKS OWNERS CLUBのクリスマスパーティに、特別ゲストとして参加された砂田弓弦カメラマンのトークショーでは、普段私たちが見聞きすることのない、レース最前線の様子がたくさん語られました。
国内では CICLISSIMO (チクリシモ)を監修される砂田さんですが、ご本人のストーリーだけで2時間は話せるほど、色んな引き出しのある方です。以前は実業団選手として走られており、選手だったからこその視点も、作品に活かされています。
12月5日(金)東京都代々木にて開催したS-WORKS OWNERS CLUBのクリスマスパーティに、特別ゲストとして参加された砂田弓弦カメラマンのトークショーでは、普段私たちが見聞きすることのない、レース最前線の様子がたくさん語られました。
国内では CICLISSIMO (チクリシモ)を監修される砂田さんですが、ご本人のストーリーだけで2時間は話せるほど、色んな引き出しのある方です。以前は実業団選手として走られており、選手だったからこその視点も、作品に活かされています。
スペシャライズド・ジャパン(以下、SJ)― 砂田さんの写真はたくさん目にしていると思うのですが、実際ご本人とお会いするのは初めてかと思います。まず、レースの先頭で、バイクに乗って撮影できるフォトグラファーは、実は世界でもごく僅かです。アジア人は砂田さんだけなのではないでしょうか。これはやはり、何か
UCI お墨付きとかが必要なんですか?
砂田弓弦カメラマン(以下、砂田)― そうですね。レースの先頭で撮影できる権利というのは、まず買えないですし、長年通っても貰えない人もいっぱいいます。そこは色々な経験値というところでしょうか。
SJ― 1989年からイタリア・ミラノを拠点にレースを追っていますが、1年のうち、どのぐらいミラノに滞在していますか?
砂田― 年間50日くらい。その他は、日本に100日間くらいいて、あとの200日はホテル暮らしです。
SJ― ホテル暮らしは、羨ましいですが、ご本人としては、色々とご苦労もありますよね。では、さっそく写真を見ていきましょう。
PHOTO: SUNADA YUZURU |
ヨーロッパでは自転車が盛んですけども、ベルギーとオランダはその中でもすごく盛んな国です。そして、いつも風が強い国なんですね。カタールでは前に出てくる選手のほとんどがベルギーかオランダの選手です。写真で、先頭を走っているのはオメガファルマ・クイックステップのニキ・テルプストラ。彼は2014年のカタールで総合優勝して、そのあとのパリ~ルーベで優勝します。やっぱり風にすごく強い選手で、オランダ出身ですね。
プロのレースは、意外と静かです。決して人の服を引っ張ったり、文句を言ったりすることはないんですけど、ツアー・オブ・カタールではよく罵声が飛び交います。
なんでかというと、どうしてもラテン系の選手は、特にこのような斜めの集団を作れないんですね。これはすごくテクニックがいるんです。ベルギーやオランダの選手は非常にうまくできるのですが、そういう選手が、下手な選手に対して怒るんです。その声は、カメラマンにも聞こえてくるんですよ。
トム・ボーネンは、すごくテクニックもありますが、そういう下手な選手に対してはよく声を上げていますね。
SJ― なるほど。次の写真も、ニキ・テルプストラですね。
PHOTO: SUNADA YUZURU |
SJ― 普通は、選手は砂田さんが撮った写真だと分からないのですか?
砂田― ほとんど知らないです。「これはキミが撮ったの?」みたいな感じです。こっちから言わない限りは分かってないですね。
SJ― なるほど。選手とのコミュニケーションはあるのですか?
砂田― ありますよ。例えばこのニキとは、ツール・ド・フランスの最終ステージで話しました。そうやって選手と話すドキドキ感はあります。
SJ― 砂田さんの写真は、劇的な瞬間を切り取ることが多いですよね。例えば落車とか。
砂田― そうですね。落車もロードレースの大事な部分ですので、事故でも躊躇なく撮る。「俺の落車の写真を撮ってない?」と、選手から求められることも実はあります。
これはコンタドール。彼がジロで優勝したときの写真です。最終ステージがミラノの大聖堂の前でした。世界じゅうの広告で使われて、一時期はバンバン出ていましたね。あと、イタリアの雑誌なんかでも大きく使われました。この写真を、ツールを走っているコンタドールのところ持っていって、「砂田へ」とサインを入れてもらいました。選手からのサインってあまりもらわないのですが、これはサインをもらって飾ってあります。
ゴールシーンでは選手って、手を挙げることが多いのですが、それぞれバラバラなんですよね。何人かは当然、手も挙げないし、手を挙げたとしても、ずっと向こうでは手を挙げているのに、目の前を通ったときには手を下すこともある。この写真ではコンタドールが手を挙げたタイミングでばっちり撮れたんです。
SJ― やはり、タイミングや勘というのも大事な要素ですよね。そして、この写真ではまさにコンタドールからサインをもらった感じですね。
砂田― これは確か2、3年前にコンタドールがブエルタ・ア・エスパーニャを走っているとき。僕の誕生日が9月7日なのですが、そこで迎えるんですね。ホテルで一緒に写真撮ってもらったんです。今、ティンコフ・サクソでマッサージをやっている宮島君に撮ってもらいました。
コンタドールへ、「普段、僕は君たちの写真を撮っているんだよ」と言ったもので、彼はすごい驚いていました。「僕、誕生日なんだよ」って言ったら、「そうかそうか、おめでとう!」って言っていました。
僕は、外から見ているだけのカメラマンですけど、チームの人に聞いても、コンタドールは素晴らしい人間性だそうです。人間としてすごく尊敬されている選手なんですね。
SJ― なるほど。そこが絶対的なリーダーたる所以なんでしょうね。素朴な疑問ですが、選手はずっとジャージを着ています。チームの規定があるんですかね。
ちなみに、ニバリの年俸は今年、7億円ぐらいらしいですね。新城くんの年俸は知らないから、後で本人に聞いてみてください(笑)
SJ― 次の写真はニバリですね。このポーズ、天を仰ぐのは本当に一瞬だったんです。これをどう切り取ったのか、伺いたかったんです。
砂田― どうやって、と言われてもね(笑) まず、この写真を撮ったのは、たしか7月18日。この日、7月18日はイタリア人にとっては特別な日なんですね。
まず、イタリアに自転車の英雄でファウスト・コッピっていう選手とジーノ・バルタニっていう選手がいました。お互い、戦前か戦後にかけて活躍した、国民的な英雄です。日本でいう、野球の王と長嶋みたいな存在です。
イタリアで、2人を知らない人まずいないでしょう。歴史の教科書にも載るくらいに、自転車レースの枠をこえて社会的な現象をつくりました。
ちょっと話はズレますけども、昔、日本に「クイズ100人に聞きました」というクイズ番組があったでしょう。あの手のクイズ番組は、イタリアで今もやっているのですが、ある日テレビを見ていたら、「戦後イタリアで活躍したすべてのジャンルの有名人は誰でしょうか?」という問題がありました。その回答に、ファウスト・コッピとジーノ・バルタニが入っていました。政治・経済、文化や芸能というすべてを含めたなかで、自転車選手の名前が入ってくる... それほどの選手でした。
ニバリが勝った日は、ちょうどジーノ・バルタニの誕生日で、もし生きていたら、ちょうど100歳の誕生日だったんです。そして、もうひとつは19年前のツール・ド・フランスで、イタリアのファビォ・カサルテッリが落車でその日に亡くなったんです。
イタリア選手にとって7月18日はすごく特別な日なんですね。ニバリは最近、結婚して子供も生まれたこともあった。そういったことも、すべて頭にあって、こうなったんだっていうコメントをしましたね。
ここで新城幸也選手が、会場に到着します。
新城選手が加わるトークの続きは、2015年1月1日公開予定です。
新城選手が加わるトークの続きは、2015年1月1日公開予定です。
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