マウンテンバイクがまるでアートのように壁にかかる、こぢんまりとして居心地のよい空間。リビングには別のもう1台が、ほとんど使われない小さなテレビの前にあるローラー台にセットされています。デンマーク、コペンハーゲンにある、アニカ・ランヴァーの住むこのアパートの一室には、そうしたサイクリングギアとトロフィーがたくさんあります。
それに負けない存在感を放っているものが、歯科医になるための教科書や学術書がぎっしり詰まった本棚です。この本は、アニカの人生計画の一部分。現在30歳の彼女は、自転車のホイールを回転させていないときには、ドリルを回転させて歯を削っています。
それに負けない存在感を放っているものが、歯科医になるための教科書や学術書がぎっしり詰まった本棚です。この本は、アニカの人生計画の一部分。現在30歳の彼女は、自転車のホイールを回転させていないときには、ドリルを回転させて歯を削っています。
アニカはSPECIALIZEDレーシングに所属するプロ・マウンテンバイク選手であると同時に、歯科医の卵なのです。
2014年に6月に開催されたMTBクロスカントリー・マラソン世界選手権での勝利から、彼女にとって初めてのオリンピックとなる2016年リオ大会(2012年のロンドン大会は怪我のため欠場)までの間、アニカはあれこれとやりくりして勉強する時間をひねり出しています。難しい試験にむけて机にかじりついて勉強し、緑の生い茂る山道を走る泥だらけの自転車生活を離れて、滅菌された医療現場でシミひとつない白衣を身にまとい学ばなければなりません。
集中と規律、その時々で何を優先すべきかを判断できる優れた才能のおかげで、アニカはこれまでまったく異なるふたつのフィールドで成功を収めてきました。そして、ふたつの夢を追いかけたこの8年間、彼女はボーイフレンドのトーマスと過ごす時間もちゃんと確保しています。簡単なことではありませんが、それは「価値のあること」なのです。
プロレーサーと歯科医はまったくジャンルが異なり、どちらも大変な仕事ですが、アニカは、スマートにふたつの仕事のバランスを取ってほがらかな笑顔を絶やさずにいるすべを知っています。世界チャンピオンのアニカがどんなふうにふたつのキャリアを両立しているのか、聞いてみましょう。
YOUR RIDE. YOUR RULES編集部(YRYR):マウンテンバイク(MTB)を始めたのはいつ?
アニカ・ランヴァー(AL):2006年に歯科医になる勉強をするためにコペンハーゲンに引っ越したとき、運動を続けたくて近くのトライアスロンクラブに入ったの。その冬にトレーニングの一環としてMTBに乗ったのよ。それがもうとても楽しくて、それに自分がかなり上手くできることにも気がついた。翌年MTBクラブに入り、コペンハーゲン周辺のアマチュアレースに参加しはじめて、そのうちに国際レースにも何度か出るようになったわ。その頃からね、MTBに一層はまって、スキルを磨いて体力をつけるために体系的なトレーニングをするようになったのは。そこから後は、なにもかもがあっという間に起こった感じ。
YRYR:勉強とトレーニングはどうバランスを取っているの?
AL:試行錯誤の連続よ。最初のうちは楽観的もいいところで、勉強しながらフルタイムでトレーニングできると思ってた。2011年の前半はどうにか両方をこなせたんだけど、夏の中頃から、勉強と遠征、競い合うこと、そのすべてがイライラの元になりだしたの。すごく疲れてしまった。たくさんのことを抱え込みすぎていたのね。適度なバランスを見つけるまでには時間がかかったし、今も苦労しているわ。自分の身体の声に耳を傾けて、自分の感じることに対応しなければいけない。でも、今はもう2017年までのすごくいい計画を立て終わってるのよ。
YRYR:ライディングと歯科医になる勉強の時間配分はどんな具合に?
AL:1年のどの時期かによってずいぶん違うわ。オリンピックレベルのライドが永遠に維持できるわけじゃないのが分かっているから、今はスポーツにフルタイムで集中している。つまり、現時点では勉強は後回しね。スーツケースひとつ持って各地を転戦し、たくさんのレースを走るシーズン中は、100パーセントの時間をMTBのために費やしている。冬はレースを走らずにコペンハーゲンで過ごせる時間がいくらか多くて、勉強ができるの。
YRYR:正式に歯科医になるのはいつ?
AL:あと1年くらい課程が残っていて、それが済んだときね。でも今は2016年のオリンピックへ向けて全力を注いでいるところ。リオが終わったら勉強の方を追いつかせるわ。私の将来にとって大事なことだもの。
私たち女性はね、家庭生活を慎重に計画しなきゃいけない。私はボーイフレンドのトーマスとよくその話をするの。例えば、まだ私たちは子供を持つことを考えてはいないけれど、いざそのときが来たら、ちゃんと子供のために準備したい。多くの女性アスリートが子供を産んでからも高いレベルで競技を続けられたらすばらしいわ。たくさんの人を勇気づけられる。でも残念なことに、男性アスリートの方が家庭を持ってもライディングを続けやすいのよね。
― 記事原文はこちら。インタビュー後半は12月15日(月)公開予定です。インタビュー後編を公開いたしました。
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