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2014年11月14日金曜日

壮絶な300kmを駆けぬけたワンデー ロードレース「富士チャレンジ2014」優勝レポート

© 大前稔(FUNRiDE)
はじめまして。藤田勉です。普段は東京都新宿区のスペシャライズド東京でメカニックとして勤務しています。

先日、富士スピードウエイで行われた「FUNRiDE presents 富士チャレンジ300」に初めて参加しました。普段は実業団のJ-PRO-TOURチーム「FIETS GROEN」として走ることが多いのですが、今回は新設された「ソロ300km」へSPECIALIZEDチームとしてエントリー。

天候は曇り。風はないが真夏なので、補給が不安材料。 春や秋なら何とかなるのだが... 保温性能の良いSPECIALIZED INSULATED ボトルを凍らせて、ダブルでケージへ。さらに同じSPECIALIZED INSULATED ボトルの「74ボトル」を2つポケットに、真ん中のポケットに補給食をありったけ詰め込んだ。傍から見ればかなりみっともない風貌である。

INSULATED ボトルをチェック >

何故、そこまでするか?

それは、ピットはあるものの、そこで補給を取りに行っている間にメイン集団は遥か先に行ってしまう。つまり、その時点でレースの勝負から離脱するため。他のソロ参加の選手は、他クラスに参加するチームメイトから走行中にコース上から補給をもらえる。個人参加の私はその時点で不利。だからこそ、ポケット満載なのである。

さて、300kmソロのエントリーは約70名とやはり少なめ。ただ、一斉スタートになる200kmや100kmクラス、混合クラスを含めればスタートラインには大勢の選手が並ぶ。

200kmまでは人数もある程度いると予想できたので、極力そこまでは脚を使わないようにするだけで、作戦も何もない。とくに大きな動きのない耐久レースになるし、私としては「どこまで走れるのか?」という感じであった。

朝8時の一斉スタートとともに、ゲストライダーの愛三工業レーシングやTeam NIPPOの選手がペースを作り、いきなりハイペース。周りの参加者はたまらない様子で、集団の人数がどんどん削られていく。私としてはその方が良いので、彼らにお任せで集団の中で脚をためて淡々と周回を重ねる。彼らの「練習会ペース」が2時間半弱、100kmほど続く。そこまでの平均速度は41km/h。100kmクラスの選手がゴールするころには思ったよりも集団の人数が減っていた。

その後、勢い余って3周ほど単独で抜け出したりもしたが、200kmクラスの選手たち数名と300kmクラスのごく数名の選手と淡々と周回を重ねる。

ただ、いくら車にとってはスピードコースといえども、1周5km弱のコースでゴール前の1kmの上りが毎周回あるので、徐々に私の脚も削られていく。

200kmクラスのゴールを見送り、とうとう300kmクラスの選手だけが残った。200kmに到達する時点でお昼過ぎ。晴れ間も見えて一気に気温が上がり、予想以上の暑さに早くもボトルが底をついてきた。

200kmクリア時点での平均速度は37km/hちょっと。ソロ300kmクラスで同一周回なのは私と「NARUSHIMA FRIEND」の奈良選手の2人だけで、あとは2Lapした選手が2人。しかも、ほとんどの選手がリタイアするか、コース上にバラバラに散らばっているので、先頭集団は4人プラス途中から復帰してきたゲストライダーの2人だけ。

身体の至るところが痛いし、脚も何回も攣りかけていた。キツい。

200kmを越えてから、コース上にもピット内にもほとんど選手はいなく、皆さんパドック内でお休みの模様。コースサイドで応援してくれている人の方が多くなっていた。

© 福島治男
残り70km辺りでとうとうボトルが底を着き、どうするか?といったところで、奈良選手に伝え走行しながら先頭グループには待っててもらう。ここまで来ると、さすがに抜け駆けはお互いにしない。

コース上で止まっている人から補給を受けるのは禁止なので、ガラガラのピットに私一人だけダッシュで駆けこむ。奈良選手のサポートの方にボトルを素早くもらいダッシュでコース上に復帰できた。補給ができ、一安心。精神的に少し元気になった。残りは30km。この辺りからお互い牽制し合うようになった。

私としてはゴールまで持ち込めば、スプリントで奈良選手に負けない自信があった。逆に彼にしてみれば、それは重々承知なので隙あらばアタックを繰り返す。彼も非常に粘り強い選手である。 その再三のアタックに、私も何度も脚が攣りそうになっていた。お互い限界が近い。もうここまで来ると、意地と根性だけである。

残り5Lap辺りから急激に激しい雨が降り出し、一気に気温が下がった。その辺りからは周りの2人の選手もゲストライダーも、私と奈良選手のサシの勝負に手を出さずに後ろで見守っていた。

そして、ラストLapに入る。完全にペースを落として最後の上りではバー下を握り、2人で並走しながら牽制状態でホームストレートに戻ってくる。

© 久高将也(FUNRiDE)
私が先行で奈良選手を抑えた状態で、最後は比較的余裕で先着できた。勝ったことよりも、レースで300kmをよく走り切れたものだと感じた。

© FUNRiDE
実は春先に、このレースに出るつもりで400kmを練習で走った。1回しかやらなかったが、そこで得たものが大きかった。今回の富士チャレでは、それを活かすことができたのかもしれない。

レース主催のFUNRiDEの12月号で富士チャレが特集されています。ぜひ、ご覧頂ければと思います。

藤田 勉

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