スペシャライズドジャパンMTB TEST RIDERの藤田翔也です。
年に一度行われる、日本一を決めるビッグレースに参戦しました。
レース会場は、日本におけるマウンテンバイクのメッカ「長野県富士見パノラマリゾート」。Coupe du Japon 第2戦と同じ会場ですが、距離が伸び、新設区間の多いコースでした。
今回のレースにもっとも影響を及ぼしたのは、「雨」です。台風が接近していました。
路面がドライであれウエットであれ、滑り方は違えど、滑ります。
ドライ時にはコース上に砂、あるいはそれと同等に細かな土が発生し、タイヤのグリップを奪います。ウエット時には、水を含んだ土や根っこの一部がスケートリンクのようにツルツルになり、滑ります。
違いは、ウエットコンディションの場合、水を吸った路面が柔らかくなり、ブレーキングポイント周辺で縦に深い溝ができること。ポイントにもよりますが、某カーマンガの「溝落とし」をしないとクリアできない区間もあり、難易度があがります(笑) セッティングは状況に合わせて調整する必要があります。
僕の場合、まずウェット時には、ドライ時に比べて速度が落ちるので、前後サスペンションともにコンプレッションを弱めにして衝撃に対しサスペンションがしっかり入力するようにします。ロングコースでは、コース後半、疲労によりバイクコントロールを失い転倒するリスクを下げるために、リバウドをあらかじめ普段よりも強めに設定し加速をあえて抑えて、コース全体にわたり接地感重視のセッティングをチョイスします。
コース、路面状況の把握はもちろんですが、自分の身体とも相談しながらセッティングを考えるのも重要ですよ!
さて、全日本MTB選手権大会は技術、体力、その他能力すべてが試されるレースとなりました。会場には7月16日(木)に入りました。
使用するタイヤの空気圧、予想されるコースの確認を行い、怪我のリスク、疲労を溜めないよう最低限の準備にとどめます。
午前中からの雨により、夕方にはかなりのウエットコンディションに。
公式練習日、レース日ともにこの時点で雨予報。むしろ、台風予報でした…(笑)
翌日に備え、この日は早めに就寝。
7月17日(金) 公式練習日
天候・雨
コンディション・ウエット
早朝、レースコースをトラックウォークしました。昨日から降り続いた雨の影響で、すでにコースは酷い状況。
水がたまり、泥水が流れるコース。霧による視界不良。たくさんのライダーが走ることで路面が掘れ、コースが荒れる事は走る前に予測できました。
追い打ちをかけるように、台風の影響で試走時間の短縮、そしてタイムドセッション中止が決定。午後の試走では案の定、掘れた路面、コースのいたるところに出来る溝、穴。走る度に変わる路面コンディションは、ラインを考え試走する選手を悩ませました。
タイムドセッションの中止により、手応えなど含め、過去のライド経験とは比較できない状況でしたが、苦手ではないコンディション。日ごろの雨練効果で心配要素も少なく、良い状態で翌日のレースを迎えました。
7/18(土) レースDay
天候・雨のちくもり
コンディション・ウエット
雨が降ったり止んだりの微妙な天気。当日の試走はライン、身体のコンディションを確認し、予選へ向けてのペースアップを図りました。
だがしかし、試走時に起きるトラブル。コース後半、粘土質でネバネバと張り付く路面、まるで田んぼの上のような一区間でフロントサスペンションのローワーレッグ、チェーンステーに泥詰まりし、一度走行不能になってしまいました。
雨足が弱まったことで、土がコース上に溜まり、その土が固まったことが原因です。正直、あまり起きないトラブルだったので、その時はあまり気にする事なく予選の準備をしました。
迎えた予選。
スタートから、想像以上に荒れているコース。スムーズな走りを意識しクリアしていきました。特にコース序盤は霧があり路面状況がわかりにくく、難しかったです。
コース中間ポイントを過ぎ、朝の試走時で走行不能になったポイントを通過しようとした瞬間、またもフロントタイヤとサスペンションの間に粘土質の土が詰まってしまい走行不能に。
身動きできない状況。後続の選手も、僕を追い抜いていきました。
幸い、後輪とクランク周りの泥詰まりは起こらず、近くに落ちていた枝で泥を取り除きリスタート。後続の選手に追いつかれた事で、すでに30秒ロスは確定… 予選不通過か?と思いながらも諦めずに走りました。
予選ランはMen ELITE
57位中22位で予選通過をしました。
TIME 5:33.964
(上位30名のみが通過)。ゴール後、榎本メカ、香取メカに泥づまり対策をして頂きました。ありがとうございます!
決勝に近づく頃には雨は止み、途中晴れ間も見える程でした。
しかし、この天候回復により更に土が固まり予選よりも過酷な状況に。最悪なシチュエーションです。それでも、僕自身のコンディションはフィジカル、メンタルともに最高の状態で決勝のスタートへと臨みました。
迎えた決勝。
霧は晴れ、視界は良好。予選ではペースの上がらなかった区間もスムーズに走れました。
しかし、2度の泥づまりを起こした区間へ到着する寸前に、早くも泥詰まりしてしまい、ペースダウン。試走、予選ともにストップしたポイントでは、後輪、クランクの間にまでも泥や石が詰まり、完全に身動きできなくなりました。バイクを無理やり手で押し、地面を蹴り進もうとしても、前後輪ロックしてしまったタイヤ。泥が付着したバイクは凄く重く、予選よりもはるかに過酷な状態でした。
この区間のほとんどを手で押しながら通過する事になってしまいましたが、諦めずゴールへと向かいました。
コース後半になると路面状況は落ち着き、何とか乗車できるようになりましたが、予選よりもはるかにタイムロスをしていました。
そして結果は、Men ELITE決勝30位中/25位で今年の全日本選手権を終えました。
TIME 7:19.452
ここまで過酷な状況は初めでした。走りたくても、走れない。
進みたくても、進まない。
気持ちと身体は万全なのに、前へ進まない状況はとても苦しかったですが、今後に繋がる良い経験になったと思います!
応援して頂いたたくさんの方々ありがとうございました。
UCI公認レース、coupe du japonは残り3戦あります。
この悔しさと、調子の良さを残りのレースでしっかり発散していきます。
引き続き応援よろしくお願いします。
今回のオーリンズサスペンションのレースセッティングデータです。
OHLINS スプリングレート /体重61kg/434in-lbs
リバウド2クリック
ハイコンプレッション1クリック
ローコンプレッション1
レース後、自宅にてバラしたバイクの隙間にはいたるところに泥が付着していました。
リンク部のベアリングの消耗もみえたので、参加された方々は一度バイクメンテをオススメします!
行きつけのショップさんにてメンテナンス、及び点検をお願いしましょう。
藤田翔也
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