なんと奇遇なことに、木村さんは私と同じ朝のスイムセッションで泳いでいるのです!
もちろん、この企画は厳正なる抽選のうえ選考させてもらっています。お名前を知ったのも、フィッティングを行うためにスペシャライズド・ジャパン本社で会ってからでした(苦笑
「肩甲骨周りなど背中の負担」
「首が辛くて前が見づらい」
「首が辛くて前が見づらい」
「長距離で右膝が痛くなりやすい」
「バイクの後のランパートではハムが攣る」
「バイクの後のランパートではハムが攣る」
このようなライディングのお悩みと症状がありました。過去の傷病履歴を聞きますと右鎖骨、右足の指を骨折したとのこと。激しいなぁと思い、過去のスポーツ歴を聞いてみましたら、オートバイのオフロード、エンデューロレースに出場したり、MTBのダウンヒルをやっていたりと、超アクション系!その後、すこしブランクが空いてトライアスロンを始めたそうです。
エンジン→重力→自分自身と推進力の移り変わりが面白いですね。エンデュランス系になるとは思ってもみなかったと、木村さんご自身もおっしゃっていました。トライアスロンやサイクリングはオートバイからの転向も多く、私自身もオートバイからのMTBだったので、すっかりこの話でも意気投合しました。
さて、今回のレポートはまずフィッティングを終え、木村さんが実際にライドに出た際の感想からお伝えします。
「フィッティング翌日に30分ほど自宅でローラーで練習してみましたが、全く背中の違和感を感じませんでした。むしろ朝スイムの後でてくる大胸筋、肩周りの重い疲労感が抜けたような不思議な感覚がありました。(もしかしたら体が温まったこともあり乳酸が抜けたのかもしれません)」
乗り始めの第一声から、好ましく確かな改善を体感されています!
そして、レースシミュレーションとしてスイム3.0km+バイク140km+ラン8kmを、レースペースを想定して本格的に走った時の印象はこちらです。
「レースペースのスイムからちょうど良い疲労感をもったままバイクに移行できました。ライド全体は局所的な疲労を感じることなく終わることができ、心拍を維持したままランを行ったがスムーズに移行できた印象。もう少しランを長く走る予定でしたが、新しくしたシューズのゴムひもがきつく8kmほどで断念しました。」
バイクパートは「局所的な疲労を感じることなく終わ」れて、全体のレースシミュレーションも上手くいったようです!
「ポジション変更で一番大きな収穫は、姿勢が崩れてきた際に基準となるポジションに戻せる、という安心感だと思います。
走行中肩の疲労感を感じるとたいてい腹筋は休み、骨盤が寝て腕で身体を支えていたりして、ひじパッドにおいている腕が知らぬ間にずれてたりしました。
それをフィッティングで設定した規定の位置に修正すると局所的な痛みはなくなりました。いままでだとその局所的な痛みから逃げるようにポジションを探りながらどんどん崩れる悪循環に落ちていったと思います。」
バイクを体に合わせることで無理のない自然なフォームに改善し、快適にスピードを持続しやすくすることこそが、フィッティングが目指すゴールです。
「またフィッティングの際も指摘された左肩の下がりが現る時は、右わき腹が休んでいるなど、非常に細かな部分もライドしながら感じることができました。これも大きな収穫でした。」
この辺りはスキルの指導やトレーニングが必要な要素ではありますが、自分の体を使うスポーツである以上、動作の修正と補強は欠かせません。
「5時間ほどライドした結果、局所的な痛みは感じず、全体的に疲労していくという印象でした。
新しいポジションでは今まで以上に腹筋や背筋といった大きな筋肉(腹筋、ハム、背筋)を使うようで、ライド後は特に筋疲労を感じました。まだまだペダリングが未熟なようです。」
局所的な疲労はない、これはとても良い疲れ方と言えます。また、まんべんなく大きな筋肉で姿勢を支えていると感じられることは、適切な姿勢で乗れてきていることを示唆しています。これにペダリングスキルが身についてくれば、徐々にスピードアップが実感できることでしょう。
「今のところ、これといって修正したいところはないです。100km越えたあたりから動員する筋肉を少し変えたり、骨の当たり位置を変えるためシートポジションを少しずつ変えています。回せるペダリング感覚のままサドルの座り位置を後ろにずらしたとき、太ももの付け根がエッジに当り、それ以上後ろに着座できない状態になりました。基本ポジションに影響があまり出ないなら、もう数ミリうしろにシートをずらしてもいいのかな?という気がしています。
」
ペダリングによる脚の負担を分散するため、また踏み込みと脚の上がりやすさを調整するために着座位置を微妙に変えるのは、とても良い方法です。
木村さんが感じたサドルの位置調整は今後のフォローフィットの際にmm単位の微調整で改善したいと思います。
「あと欲を言えば、今の快適性を維持できる範囲で前方の投影面積を減らせるようにハンドルの位置を下げれるのかなあ。という欲望が出てきています笑
」
これもフォローフィットにて検討します。ただ木村さんの場合、フィット前の方がフィット後よりもハンドル&バーは前に低くセットされていたにも関わらず、上体は起き上がり、肩周りの負担が高く、姿勢が維持しづらい上に、空気抵抗も大きくなっていました。
ハンドルを物理的に低くしても、体に無理強いてはその低さに耐え切れず、腕と肩で突っ張ったり、サドルに体を乗せるようにして、姿勢を起こしてしまうことになります。また、頭が一番高い位置で突起していますので、大きな抵抗を生んでいました。頭の低さはポジション調整の際、重要になります。「ハンドルが低い=エアロ」ではなく、「姿勢が起きずに頭の位置が低い=エアロ」なのです。
フィッティングに話は戻りますが、フィジカルアセスメントを通じて木村さんには以下の身体的特徴があることを確認しました。
「ハム、背部の柔軟性は浅く、背中はフラット傾向」
「骨盤から体のねじれがある」
「前足部の内反に左右差があり、右が中程度で左が軽度」
「前足部の内反に左右差があり、右が中程度で左が軽度」
実際にバイクに乗ってもらったところを見させてもらいますと、
「サドルが著しく前方にセットされ、体全体が前方に押し出されているかのよう」
「ハンドル、エアロバー&パッドが低く前にセットされ、寄りかかるように体を預けている」
「ペダリングに左右差があり、右膝が内側に倒れ込むような動きになる」
というような状態でした。
そこから、ボディジオメトリーフィットの手順により、サドル位置の高さと前後の調整から入り、アセスメントでの柔軟性に見合った範囲でポジション調整を行いました。ロングディスタンスに向けたフィッティングですので、多少の余裕を見てハンドルの位置を決めています。それにより、写真のビフォーアフターのように姿勢の角度と頭の位置が大幅に変り、エアロ効果も大幅に改善しています。
バイクにおいてはライダーこそが最も空気抵抗を産み出す要因です。ボディジオメトリーフィットによるフォーム改善は、フレームやホイールを変える以上の効果をもたらすことがあります。
逆に言えば、高性能なフレームとホイールを導入するならば、フィッティングは欠かすことは出来ないと言えるでしょう。
ぜひ皆さんも、宮古島に間に合わなくとも、レースまでにポジションを改善されることを強くお勧めします!
ぜひ皆さんも、宮古島に間に合わなくとも、レースまでにポジションを改善されることを強くお勧めします!
竹谷賢二
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