「第30回全日本トライアスロン宮古島大会」に出走する二人のトライアスリートに体験していただいたく「プレミアムTTフィット モニター募集」の模様をお伝えします。
シーズン開幕が近づくこの時期はバイクポジションを見直す最高のタイミングです。人間工学やバイオメカニクスの見地から科学的にポジションを最適化するボディージオメトリーフィット、なかでもエアロポジションの調整に特化したTTフィットは私自身も2月上旬にS-WORKS SHIVで受けてみて、その確かな効果を体感しています。
さて、一人目のモニターは女性トライアスリート、和田さんです。
だいたいこんな感じかな~と、バイクに乗り始めのころにセットしたポジションで乗り続けている女性が多いのですが、それでは十分なパフォーマンスを発揮できません。和田さんにもその傾向がありました。乗り慣れてくるにつれ怖がらずにコントロールが出来るようになり、またトレーニングを続けていけば体力もついてきます。このような体やスキルの変化に合わせて、どんどんとペダリングのしやすいポジションにしていかなければなりません。
フィッティングは現状のヒアリングから始まります。
「長時間の乗車姿勢で腰が痛くなります」
「疲れてくるとフォームが前へ後へと崩れてしまいます」
「姿勢が左に偏っており、アンバランスに感じます」
「太もも前の張りが強く、負担です」
「太もも前の張りが強く、負担です」
「ケイデンスが上げられません」
「ハンドルが遠いからステムを交換、クランクも短くしたほうがいいよ、と言われます」
「ハンドルが遠いからステムを交換、クランクも短くしたほうがいいよ、と言われます」
和田さんはこのようなお悩み、症状を持っていました。
続いて、これらの症状の原因を探ります。ボディジオメトリーフィットの特徴である、フィジカルアセスメントによってバイクライドに関わる身体的な特徴を確認します。
柔軟性や身体のゆがみの有無、筋力の強さなど足裏から頸部まで20数項目にわたり、まさにつま先からてっぺんまで本当に細かくチェックします。詳細は割愛するとして、今回は和田さんのTTフィットで特徴的だったトピックを取り上げます。
「柔軟性が高く、深い前傾姿勢が無理なくとれる」
「コアの筋力が働きずらく姿勢保持が難しい」
「コアの筋力が働きずらく姿勢保持が難しい」
「脊柱の前弯と側弯あり、体にねじれがある」
「股関節から脚には大きな左右差はなし」
「股関節から脚には大きな左右差はなし」
このような和田さんの身体的な特徴に合わせてバイク、機材を調整します。
まずは、シューズ周りです。足裏の特徴と3分の1スクワットでの安定性を考慮して、シューズの中の支えとなるフットベッドをサポートの強い「+++」に決定しました。股関節、膝、足の安定が増し、ブレなくペダリングしやすくなります。クリートの位置もズレていたので、左右合わせます。
まずは、シューズ周りです。足裏の特徴と3分の1スクワットでの安定性を考慮して、シューズの中の支えとなるフットベッドをサポートの強い「+++」に決定しました。股関節、膝、足の安定が増し、ブレなくペダリングしやすくなります。クリートの位置もズレていたので、左右合わせます。
「姿勢が左に偏っており、アンバランスに感じる」ということでしたが、足元からその傾き症状が発生する場合もあります。一つひとつ、すべての可能性を確認していきます。
そしていよいよバイクに乗って、ペダリングをしていただきます。レースでのイメージを持って、普段の走りを再現し、それをフィットテクニシャンが確認してお悩みの症状改善に取り掛かります。
私が見たところ、まず和田さんはサドル位置を低く設定しているために脚が動かしづらく、上死点が窮屈になり股関節が詰まりがち。また、下死点まで踏み切ってしまってペダリングがギクシャクしています。サドル後方に座る感じで、腰が後ろになっています。これには後述しますが、大きな理由がありました。ハンドルバーが遠く背中が伸びきっており、ブラケットでも腕が伸びきっていました。エアロバーを持つと、これらはさらに顕著になります。肩がせりあがっていて、首まわりの負担も高く、長時間のライドは苦痛だろうと思われました。
これらの症状は、体とバイクセッティングが合っていないことが原因です。和田さんの身体的特徴を加味して、改善していきます。
まずはサドル位置から。
膝角度を確認しつつ、サドルを高くあげていきます。だいたい合わせたところで、サドルを前へ動かし、腰位置とペダルとの関係を整えます。わりと良さそうな位置関係になっても「身体が左へ偏って乗っている感じで全体的にアンバランス」に感じるというコメント。ペダリングでの脚の軌跡の左右差、膝角度の左右差も解消しません。
その原因は、サドルから腰が左に落ち込んでしまっていたためでした。そして、サドルの安定する位置を探り、後ろへ後ろへと座ってしまうようです。広い部分に座ることでシットポジションの安定を求めていたのです。そこで、サドル幅を見直します。アセスメントで測った和田さんの坐骨幅は135mmとやや広めでしたが、あらかじめ取り付けられていたサドルでは幅が足りていませんでした。そこで、サドルを155mmのWomen'sOura Expert Gel に交換しました。このサドルはパッディングが薄めなのですが、交換時に元のサドルはフワフワした感じがするということでしたので、このチョイスになりました。サドルの柔らかさが偏りを助長する可能性もあります。
サドルを変えるとすぐに腰の位置とペダリングが改善されはじめました。腰がややまっすぐになり、脚の左右差も確かに減っています。しかし、まだ左への偏りが解消しません。脊柱のねじれもありましたので、それが原因かと思いましたが、まだ納得出来ないので、サドルを更に168mmへと交換しました。
これが大正解で、大幅改善!腰が真っ直ぐにサドルに座れたことで体もバイクに対して真っ直ぐに位置していることを和田さん自身も自覚されました。この時点では、視線と感覚のズレでついつい体を左に傾ける癖はまだ残りましたが、すぐに修正できました。さらにサドルの位置調整を続け、結果サドル位置は高くなりましたが前にも移動したことで、ハンドルとバーの遠さも解消しました。
肩の上がりと首の負担はまだあったので、角度シムを交換してステムとハンドルの位置を下げました。これによりハンドル、ブラケットは適正な範囲に収まりました。
次にバーとパッドの位置を手前にすることで、負担が少なくなるように肘、上腕の位置を調整します。幅も狭めていき、肩周りの筋力ではなく骨格の自然な張りで支えられるようにしました。バーの突き出しの長さ、内外の向き、角度も微調整してより姿勢の安定感が向上し、快適なポジションの仕上がりになりました。
最後にシューズ内のシムでペダリングでの脚の軌道の安定性を調整していきます。アセスメントでは、前足部の内反は顕著でしたので、両足に2枚の内反シムを入れて仕上げとしました。
最後にシューズ内のシムでペダリングでの脚の軌道の安定性を調整していきます。アセスメントでは、前足部の内反は顕著でしたので、両足に2枚の内反シムを入れて仕上げとしました。
ここまでのフィッティングプロセスにより、最初に伺った症状はすべて解消しました!
和田さまからは、フィッティングの翌日に120kmの実走後に感想をいただきましたが、快調とのことです!「こんなに乗り心地が変わったことにビックリです。そしてバイクとの一体感が嬉しいです☆今週末も楽しみ(´V`)♪」ともコメントをいただきました。
今後、この調整したポジションで乗り込んでいって、またレース前にフォローフィットも行い、万全を期して宮古島大会に臨んでいただきましょう!
竹谷賢二
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